こんにちは!薬剤師専門の転職エージェント「ジョブホ薬剤師」です。
昨今MRのリストラが続き、将来性について議論されています。本日はMRの現状や将来性についてご紹介します。

Contents
MRの現状
MR人数の減少、リストラ・早期退職の増加
MRへの就職・転職を希望している人は、近年の相次ぐ「製薬会社のMR人員削減」のニュースに、やきもきしているかもしれません。
2020年には、外資系大手の日本イーライ・リリー社が、創業以来初となる大幅なリストラを敢行し、約200人の人員を削減しました。
同年、国内最大手の武田薬品工業も、大々的な早期退職を実行して話題となり、約500人が退職したと見られています。
国内2番手であるアステラス製薬は、2021年、約450人の応募を想定した早期退職者募集を発表し、想定人員を上回る約650人が退職しています。
また、世界の売上ランキングのトップであるファーザーもアメリカでのMR数を大幅に削減し、日本でも2022年にMR600名の早期退職を募集予定です。
2022年において約1200名程度在籍するファイザーの日本のMRが約半数に削減されるので、今後他社も追随することが予想されます。
新卒採用人数の減少
現MRのリストラだけではなく、採用人数も減少傾向にあります。
日刊薬業が主要製薬企業を対象に行った「2022年度新卒採用・雇用調査(国内)」では、今春の新卒採用人数が、回答企業(56社)全体で、前年度比4.4%減の2040人となったことが分かりました。中でも職種別では、MR採用を抑制する傾向が続いています。一方で中途採用はやや増加しています。
また、MR人数は2013年の約6万6千人をピークに6年連続で減り続けており、2020年には5万3千人まで減少しています。
MRを目指している人たちは、業界の状況や将来性について把握したうえで、激化する就職活動を勝ち抜いていく必要がありそうです。
MRや製薬業界を取り巻く環境の変化
度重なる薬価改定
MRが減少している背景の一つに、製薬会社の収益悪化があります。その一番の理由として、度重なる「薬価改定」があることは、薬学生の皆さんもご存じかと思います。
もともと日本では、2年ごとの薬価見直しにおいて、毎回5~8%ずつ薬価が引き下げられます。さらに2021年度には初めての中間年改定が行われ、今後も政府からの薬価引き下げ圧力は緩みそうにはありません。
要するに、企業にとって「営業にお金をかける余裕がなくなってきた」ということです。
プロモーション活動のガイドライン運用開始や訪問規制
MR活動が、年々やりにくくなっている現状もあります。
MRによる不適切なプロモーション活動を防ぐ目的で、2019年4月から「販売情報提供活動に関するガイドライン(PGL)」の運用が開始されました。
規制がさらに厳格化され、MRの活動が大きく制限されています。加えて長引くコロナ禍によって、病院側の訪問規制もさらに厳しくなっています。
「MRの活躍できるフィールドが減っている」ため、企業もMR人数を絞っているというわけです。
情報提供のデジタル化
医薬品の情報提供のデジタル化も進んでいます。
医療専用ポータルサイト内で、製薬企業が医師に対して、医薬品を中心とした医療情報を提供する事が可能になってきました。
ネットで情報が手に入るようになったため、「MRと直接面会する必要性が薄れてきた」と感じている医療従事者が増えているようです。当然ながら、コロナ禍でこの現状は加速しています。
ジェネリック医薬品の普及と新薬開発の鈍化
新薬の発売が減ったことにより、情報提供するMR人数を絞っているという企業も増えているようです。
先発医薬品メーカーは、自社医薬品の特許が切れると、情報提供の必要性が低くなってきています。
特にここ数年は、国内大手製薬企業において、ブロックバスターと呼ばれる大型医薬品の特許切れが相次いでいます。ジェネリック医薬品の普及や企業の収益悪化が相まって、新薬の開発が進まないという問題もあります。
「情報提供する新しい製品が無い」ので、企業がMR人数を絞るのも当然です。
MRの将来性
少数精鋭が求められ、就職競争は激化する
このように、医療現場からも企業側からも、MR需要が減りつつあるのが、MRの厳しい現状です。実際に大手・中小企業、また外資系・内資系問わず、MRの採用人数を絞る企業が増えています。
医療業界自体は、高齢化や生活習慣病、アレルギー疾患の増加といった背景から、市場拡大の一途をたどっています。当然ながら医薬品業界のニーズも依然としてあるのは確かです。
そのため、すぐにMRの需要がゼロになるとは考えにくいです。
前章で、情報提供のデジタル化を挙げましたが、これをMRの活動に生かす企業も出てきています。ファイザー社では、全国の担当MRが、このサイト上で医師と直接コミュニケーションを行うことのできるシステムを導入しました。
働き方を時代に合わせて変えながら、各社生き残り戦略が練られています。
今後は、訪問規制やデジタル化が進む中でも「直接会って話を聞きたい」と思ってもらえるような、“質の高い人材”のみが、業界内で生き残っていくことができるでしょう。
薬学生、薬剤師の採用ニーズ
企業のMR新卒採用枠は減少しつつも、中途採用枠は増加傾向にあります。すでに知識を持っていて現場で活躍できる、即戦力のある人材が求められています。
大学で身につけた専門知識が活かせる薬学生や薬剤師も、MRとしての採用ニーズが今後高まることが予想されます。
企業によっては採用比率の半数以上が薬学部の企業もあり、薬剤師でなければほぼ入社できないようなケースもあります。
特に大手企業ではMSLなど高度の薬剤の情報提供ができる人材を重宝しているため、能力の高い人材であれば非常に企業からの採用ニーズは高いでしょう。
業界内での転職も視野に
業界全体は採用枠が絞られる傾向にあるものの、当然ながら企業によって状況は異なります。
新製品上場や適応拡大時、外資系メーカーの新規参入時などは、MRの募集人数が増加するなど、年度によっても採用人数が増えることがあります。
まずは就活・転職サイトに登録して、各企業の採用動向を注視してみることも大事です。医薬品業界、とくにMRは転職が多いという特徴もあります。
MRから別企業のMRはもちろん、CSO・CROといった受託会社、医療系コンサルやマーケティング企業への転職も増えています。 就職したら終わり、ではなく、業界内に常にアンテナを張っておくことも、生き残るMRの秘訣です。
まとめ
今回の記事では、MRの現状から近年の環境変化、今後の将来性について解説しました。採用枠が減り、リストラが進み、業界の状況は向かい風・・・と不安を感じる人も多いかもしれません。
しかしながら、知識をアップデートし続けて、先方のニーズを的確に満たしているMRは、この厳しい現状の中でも活躍しています。
MRとして採用されても、数年後には働き方ががらりと変わっているかもしれません。時代の変化に対応していく柔軟性が求められるでしょう。
- 医薬品業界の厳しい現状から、MR新卒採用人数は減少傾向にある
- MRはより高い知識レベルが求められるようになり、薬学生採用需要は高まる予想
- 就職して終わりではなく、常にアンテナを張って情報収集しよう
本日は製薬会社の現状や将来性について記載しました。
弊社では薬剤師専門の転職エージェントとして、個々にあったキャリアを提案しておりますので、お悩みの際はお気軽にご相談下さい。